JR北海道は、2021年春のダイヤ改正で、18駅を廃止することを発表しています。駅廃止数は過去最多で、かねてから厳しいJR北海道の経営状況に、追い討ちをかけるように現れた新型コロナウイルスによる影響が、出ています。
毎年廃止されるJR北海道の駅は、どこも昔から変わっていない趣がある駅ばかりで、コアな鉄道ファンが数多く訪れています。
廃止される18駅がどんな場所なのか、まとめてみました。
伊納駅
函館本線で唯一の廃止駅となる、伊納駅。旭川市外地にあるこの駅は、近年、1日の平均利用者が3人以下でした。
かつては、駅から石狩川を挟んだ台場地区に、北海道旭川北都商業高校があり、ピーク時は500人前後の利用客がいたものの、2011年に閉校してからは、利用客が激減しました。
駅周辺には、ゴルフ場や小学校、住宅街が整備されており、秘境駅とは言い難いものの、廃止となってしまいます。
出典:asatan
南比布駅
今回廃止になる18駅のうち、16駅は宗谷本線の駅。
1駅目は南比布駅です。北海道上川郡比布町にある南比布駅。
駅周辺には農地が広がっており、2015-19年の1日当たりの平均乗降客数は、3人以下でした。
旭川ー名寄間は、快速なよろ号の運行があるなど、宗谷本線内でも、比較的利用が多い区間ですが、後ほど紹介する北比布・東六線・北剣淵など、廃止駅が多発します。
出典:ハンドル屋の娯楽室
北比布駅
稚内方面に向かいます。比布町の中心部にある比布駅を挟み、北比布駅。この駅も廃止が決まりました。
利用客数は、2015-19年で、平均1人以下と、「利用が一切無い日」もある駅です。
国鉄分割後の1992年も、全て1日の乗降客数が10人だったのを見ると、数十年前から廃駅がほぼ確実だったのでしょうか。
出典:北海道新聞
東六線駅
特徴的な駅名で知られる東六線。
由来は、「基幹道路から東に6線の場所に存在する」ことから。利用客はここ5年間で、1日平均3人以下。
1992年の利用客数も、1日6人でした。
駅前には建物がほとんどなく、目を引くものと言ったら、鉄道防風林か、道央自動車道くらいです。
出典:剣淵町観光協会
北剣淵駅
木造のプラットホーム、少し離れた簡易的な待合所。
完全に秘境駅の雰囲気を醸す北剣淵駅。
利用客も1人以下が少なくともここ10年続いています。
近くには、道央自動車道の現在の終点となっている士別剣淵インターがあります。
出典:剣淵町観光協会
下士別駅
名寄盆地の平地部にある下士別駅。
この駅は、民営化直後の1992年から、1日の利用客数が6人と、一桁台でした。
駅周辺には、小さな市街地が広がっています。
出典:つちぶた本舗の全駅訪問の旅
北星駅
名寄を過ぎ、山間部と天塩川の間を沿うように、走っている途中に、北星駅があります。
駅の北側には山、南側のすぐそこには天塩川が流れていますが、周辺には人がほとんど住んでいません。
利用客数も、1990年代に0人を記録しています。
出典:ちゃり鉄.JP
南美深駅
美深町内の平地にある南美深駅。
仮乗降場から昇格した駅で、駅昇格後2年目の1960年には、年間の利用客数が14万人もいました。
1992年時点でも1日利用客数は26人いましたが、2010年以降1人台が続き、小数点を記録する年もありました。
美深町によると、「南美深の基幹産業である農業は、高齢化が進んでいるものの、若手が農業を担っており、将来有望な地域」としています。
駅は廃止されますが、将来どうなるか楽しみです。
出典:タタールのくにびき ー蝦夷前鉄道趣味日誌ー
紋穂内駅(もんぽない)
錆びてしまった貨車駅舎を持つ紋穂内駅。
この駅もここ10年は利用客が1人以下が続いています。
隣の恩根内駅との間には、道の駅びふかとびふか温泉という、宿泊施設と日帰り温泉を兼ねた施設があります。
出典:パノ鉄本舗
豊清水駅
人里離れた山の麓にある豊清水駅。
高台にあるため、眼下には一面の牧草畑が広がります。
利用客数は、ここ10年で、毎年のように1人を切っていました。
1946年に仮乗降場として、1950年に駅へと昇格しました。
出典:つちぶた本舗の全駅訪問の旅
安牛駅
1925年に開業。ここも、道内に多い貨車駅舎がある駅の一つですが、2008年現在、宗谷本線内では、貨車駅舎の外壁塗装の劣化具合が一番激しいとされています。
かつては駅周辺に商店がありましたが、今現在人家はありません。
周辺を流れる天塩川の三日月湖が多いです。
出典:川崎鶴見鉄道録
上幌延駅
安牛から2駅行った上幌延駅も廃止となります。
上幌延・安牛は、3駅連続して、比較的駅間距離が短いため、中間にある南幌延駅を存続させ、利用を集中させることを、幌延町は廃止理由の一つに挙げています。
出典:さんちゃんの駅ブログ
徳満駅
宗谷本線で廃止される駅の中で一番北にあります。
一帯にはサロベツ原野が広がっており、駅の東側にある宮の台展望台から見渡せます。
徳満の隣駅に豊富駅ありますが、「徳が満ちて豊かな富を得る」と解釈され、大変語呂が良いため、入場券や乗車券の人気があったようです。
ちなみに、函館本線に銭函駅と朝里駅があるのですが、「銭箱から漁る」という語呂があり、YouTubeで話題になったのを、思い出しました。
出典:れとろ駅舎
北日の出駅
お次は、石北本線の駅です。
まさかこの駅が廃止になるとは思いませんでした。
近くに旭川工業団地があるからです。
工場や発電所が近くにあれば、たくさんの職員が鉄道を利用するため、利用客が多くなる傾向にあるのですが、北日の出駅の1日の平均利用者数は、1人台が続いているようです。
旭山動物園の最寄り駅という扱いもできますが、徒歩25分かかり、連絡バスも無いので、旭川駅からシャトルバスに乗りましょう。停車本数も少ないですからね。
出典:鉄道と音楽の日々
将軍山駅(しょうぐんざん)
当麻町にある、独特な名前を持つ駅。
由来は逸話になりますが、1888年に、屯田兵の入植の際、永山武四郎陸軍少将が、山に登り、入植地を決めたという山名からだそうです。
駅周辺には数軒の農家があり、将軍山もあります。
出典:つちぶた本舗の全駅訪問の旅
東雲駅
東京にも同じ名前の駅名がありますが、ここは「とううん」と言います。
層雲峡が近くにあります。(数十キロあるが最寄り駅の一つ)
隣駅は上川で、旭川ー上川間は、石北本線の中でも比較的利用が多い区間です。
出典:つちぶた本舗の全駅訪問の旅
生野駅
大阪や兵庫にも同じ地名がありますが、北海道の生野駅が廃止になります。
先程の東雲駅から、峠を越え遠軽で方向が切り替わって、北見に向かう途中にあります。
列車本数は上下合わせて3本しかなく、秘境駅として扱われていますが、人家も数軒あり、道路も通っているため、秘境駅の中では、到達難易度が低いでしょう。
出典:つちぶた本舗の全駅訪問の旅
南斜里駅
石北本線の終点である網走を過ぎ、釧網本線に入ると南斜里駅があります。
釧網本線は知床斜里駅で、方向を90度近く変えた後、南下する途中にあります。
周辺には斜里川が流れていて、農地が広がっています。
出典:つちぶた本舗の全駅訪問の旅
さいごに
2021年春のダイヤ改正で廃止予定の18駅を紹介しました。
北海道には、廃止候補や実際に廃止となる駅の中には、昔ながらの風情がある駅舎もたくさんあります。
実際に小幌駅のように、秘境度が話題を呼び、数年の廃止を回避した駅もあります。
惜しくも廃止となりますが、見納めに行ける方はぜひ行ってみてください。