7月16日に開催されたTPPの閣僚会議において、イギリスがTPPに加入することが正式に決定されました。
同協定が発足した2018年以降新たに国が加入するのは初めてのことで、また太平洋地域を重点に置いた協定がこの度欧州にも広がることになりました。
テレビやネットなどでよく耳にするであろうTPPですが、設立目的はよく理解していないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、TPPとはどのような枠組みなのか、また設立された目的についても見ていきます。
TPPとは
TPP＝環太平洋パートナーシップ協定は、2016年2月に日米豪をはじめとする太平洋沿岸の11カ国の間で締結されました。
しかし米国は、トランプ政権が誕生した2017年1月にTPPを離脱します。
その後、米国以外の加盟国の間で締結されたものが「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」で、今のTPPの起源とも言える協定です。
この協定は、太平洋沿岸の国同士の貿易で関税を撤廃し自由貿易化を目指すべく制定されました。
出典：時事エクイティ
TPPの大きな特徴
自由貿易化を推進しようと、関税を撤廃する動きは世界中で活発的にありますが、その中でもTPPには大きな特徴があります。
それは、TPPの枠組みを用いて全ての分野での関税撤廃を実現しようとしていることです。
食品や工業製品などの関税撤廃はもちろん、非課税分野や環境、人権問題のルール作りを主導する枠組みとしても、TPPには期待が寄せられています。
全ての分野で関税撤廃を目指すことで、自国の主力産業輸出と、海外からの輸入促進を図ることができます。
出典：首相官邸
TPPのメリットとデメリット
メリット
日本の立場で考える場合、次のようなメリットが考えられます。
例えば自動車や家電など日本が得意とする製品を海外輸出する際、関税が撤廃されることで製品価格が安くなり、海外市場でより大きなシェアを得ることが期待できます。
また消費者の目線で考えた時、日本は多くの食品を海外からの輸入で調達していますが、関税が撤廃されれば今までよりも安い価格で食品を購入できるかもしれません。
出典：PRTIMES
デメリット
一方でデメリットや懸念される点もあります。
日本は多くの食品調達を海外輸入に頼っているとはいえ、自国生産する食品も少なくありません。
特に、米の自給率は毎年100%近い数値で推移していますし、肉や野菜、果実も味のいいブランドが多くあります。
自国生産される農産物が、関税撤廃で安くなった海外の農産物との競争にさらされ、結果として打撃を受ける国内の農家も生まれるでしょう。
長期的に考えた懸念点
海外の生産物を受け入れる＝海外の産業の力を借りるということは、少子高齢化で人材不足に悩む日本経済にとって長期的に見たらいいことに見えるかもしれません。
一方で海外の産業に頼れば頼るほど、日本国内の新しい産業を育成する機運や機会が抑制されてしまうことも考えられます。
また、昨今の対中国の半導体や先端技術の取引に関する問題を見ての通り、TPP加盟国との間に政治的な問題を抱えた場合、今までのように生産物の輸入が行えない可能性が高まり、結果として日本経済も影響を受けるかもしれません。
安全保障上の観点からも、自由貿易の推進と自国産業の育成を両立して進める必要があるでしょう。
出典：WIRED
アイキャッチ画像出典
出典：首相官邸
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