2024年3月16日に北陸新幹線が敦賀まで延伸して、すでに半年が経とうとしています。
以前の記事でもお伝えしたのですが、今回の北陸新幹線はいくつか課題の残る開業例となりました。
【以前の記事】
例えば、関西ー福井・金沢間の移動に乗り換えが発生したこと、新幹線開業にも関わらず短縮できた移動時間が限定的であること、その上で運賃と特急料金が割高になったことを挙げられます。
これ以外にも課題が存在します。それは、首都圏と福井・敦賀間を移動する場合、時間や費用の面で必ずしも北陸新幹線が最適な移動手段ではないということです。
一体、どういうことなのでしょうか。本記事で解説していきます。
東京ー敦賀間を北陸新幹線で移動すると…
SNSなどを見ていると、これは比較的有名な話に見えますが、実は東京ー敦賀間の最短経路は北陸新幹線ではありません。厳密に言えば、多くの時間帯で同区間の最短鉄路は東海道新幹線経由となります。
例として、東京駅をそれぞれ始発の新幹線で出発すると、途中駅の時刻と費用は次のようになります。(2024年8月15日現在の情報で臨時列車は除外。特急料金は通常期の価格。)
東海道新幹線ー北陸本線経由
駅名 | 東京 | 名古屋 | 米原 | 敦賀 |
到着時刻 | 7:34 | 8:02 | 8:58 | |
発車時刻 | 6:00(のぞみ1号) | 7:37(ひかり535号) | 8:09(北陸本線普通) |
運賃 | 特急料金 | 合計 |
8,030円 | 5,360円 | 13,390円 |
北陸新幹線経由
東京発 | 敦賀着 |
6:16(かがやき501号) | 9:34 |
運賃 | 特急料金 | 合計 |
9,130円 | 7,230円 | 16,360円 |
この結果から言えること
私がこの結果から言いたいことは、少なくともその日の最も早い新幹線移動で最初に敦賀に到着できるのは、東海道新幹線ー北陸本線経由のルートということです。
そして1日を通じて安い運賃と特急料金で移動できるのも、東海道新幹線ー北陸本線経由です。
もちろん、出発する厳密な時間によっては北陸新幹線経由のルートの方がより早く到着できるケースがあります。
しかしながら、北陸新幹線は最速のかがやき号でさえ所要時間が3時間を超えるのに対して、東海道新幹線経由の場合、特急しらさぎ号(米原ー敦賀)を利用することで2時間台となる経路も存在します。
従って、所要時間の面では東海道新幹線経由が勝ります。
それでは東京ー福井間はどうなのか?
続いて、東京ー福井間の最短ルートを見ていきましょう。
さすがに、東京から福井までであれば、最短ルートの座には北陸新幹線が座るでしょう。最速タイプである、かがやき号が運行される朝夕の時間帯は特に北陸新幹線が圧勝と言えます。
(2024年8月15日現在の情報で臨時列車は除外。特急料金は通常期の価格。)
特に朝夕は北陸新幹線が圧勝
東京(6:16発)をかがやき501号で出発すると、福井には9:13に到着。
それに対して、東海道新幹線+北陸本線+ハピラインふくいのルートでは、最も早くても福井には10:04に到着します。
経由路線 | 詳細 | 運賃+特急料金 |
北陸新幹線 | 指定席で移動した場合 | 15,810円 |
東海道新幹線+北陸本線+ハピラインふくい | 新幹線指定席、北陸本線は普通列車で移動した場合 | 14,530円 |
東海道新幹線+特急しらさぎ+北陸新幹線 | 新幹線は指定席で移動した場合 | 16,950円 |
2番目の「東海道新幹線+北陸本線+ハピラインふくい」の所要時間が4時間程度であり、これも現実的な移動手段であることを考えると、惜しくも北陸新幹線は最も安い鉄路では無いものの、3時間で一本で行けることを考えると、敦賀まで行く時のように高いと感じる方は少なくなるのではないでしょうか。
先述の通り、かがやき号の運行が無い日中の時間帯は、東海道新幹線経由ルートとの所要時間の差は縮みますが、それでも東海道経由の方が早くて安いというところまでは行きません。
最終は?…
ただ東京ー福井間であっても、東海道新幹線を利用すべき時間帯がほぼ一つだけ存在します。
それは最終の列車です。
まず北陸新幹線からお話ししますが、東京から福井に行ける北陸新幹線の最終列車は、東京19:56発のかがやき517号です。
しかし、東海道新幹線を利用する場合は、遅くても東京20:30発のぞみ477号新大阪行きに乗車すれば、名古屋、米原、敦賀と乗り換えて福井に到着できてしまいます。福井の到着時刻は日付変わって0:01です。
東海道新幹線経由の方が東京に遅くまでいられる要因は、北陸本線とハピラインふくいが快速列車を運行しているから。
実はこの経路で移動すると、米原から福井までこのような列車に乗車します。
時刻 | 種別 | 途中停車駅 |
米原(22:48)→敦賀(23:20) | 快速 | 無し |
敦賀(23:22)→福井(0:01) | 快速 | 南条、武生、鯖江 |
2024年8月15日現在では、米原ー敦賀間の快速は臨時運行のため2024年10月1日以降も運行があるか不明ですが、今は例外的なこの2列車によって深夜の福井までの鉄路が確保されているのです。
敦賀駅は同じホームで2分間の乗り換え。遅延時も接続します。
これに乗って福井へ行ってくれと言わんばかりの列車です。
福井方面の最終新幹線がもう少し遅かったら
敦賀行きの北陸新幹線最終列車は、東京駅を19:56に出発します。
体感的にですが「19時台出発」と聞くとなんだか早い最終列車と感じるものです。
東京ー大宮間の線路容量の都合もあるでしょうが、最終列車の敦賀到着が23:14であることを考えると、もう少し遅かったらいいなと感じる方も多いのではないでしょうか。
仮の話ですが、福井駅に折り返し機能があったのなら、現在よりも遅い時間に福井行きの最終列車が設定されていたなんてことも考えられますね。
まとめ
今回は北陸新幹線と東海道新幹線経由の移動ルートについて解説しました。
東京ー敦賀間の移動は、概ね東海道新幹線での移動が所要時間と費用の面で合理的ではありますが、それはあくまで東京出発を前提にした場合であることを忘れてはいけません。
東京近郊でも埼玉県や東京都北部の場合は、北陸新幹線経由での移動が合理的となる地域も存在するので、一言で北陸新幹線が遅くて高いとは限らないことに留意する必要があります。
この記事とは直接関係ありませんが、北陸新幹線が東海道の代替ルートとして早速機能していることも、私としては非常に喜ばしい出来事です。