【地政学】海洋国家と大陸国家の違いは戦略や性格にある

政治

アイキャッチ画像の出典

CNN.co.jp「英空母打撃群、太平洋地域に派遣へ 日本にも寄港予定」

地政学という学問とは何か?知りたい方はまずこちらの記事をご覧ください。

地政学には、「海洋国家」と「大陸国家」という概念があります。

文字で見れば、「海か、陸か」と読み取ることもできるので、学生時代社会で習った「海洋国」「内陸国」と同一の意味があるのか?と考えるかもしれませんが、実は違います。

本記事では、地政学的概念である「海洋国家」と「大陸国家」の違いについて解説していきます。

海洋国家、大陸国家とは何か?

①海洋国家について

かいよう‐こっか〔カイヤウコクカ〕【海洋国家】 

国土の全部または大部分が海に囲まれている国。海とのかかわりあいが大きい国。日本・イタリア・ノルウェー・英国など。海洋国。

weibo辞典

②大陸国家について

たいりく‐こっか〔‐コクカ〕【大陸国家】

国土の全部または大部分が大陸にある国。陸上における交通や生産を重視し、領土を維持・拡大してきた国。ロシア・中国・フランス・ドイツなど。大陸国。

weibo辞典

海洋国家と大陸国家の違い

海洋国家と大陸国家のいくつかの違いを表にまとめてみました。

違いは他にもたくさんありますが、決定的に違いが見られるのはこのようなポイントになります。

海洋国家の本土は、ある程度広い海に囲まれた島にあります。

イギリス、日本、イタリア、ノルウェー、アメリカなどです。

 

あれ?イタリア、ノルウェー、アメリカは大陸と陸続きでは?

なぜ、この3国が海洋国家に分類されるのかと言いますと、陸続きでありながら陸に国防上の脅威がほとんど存在しないからです。

イタリアの北部にはアルプス山脈があるので、これが事実上の要塞として機能します。

出典:WINE FORRY

ノルウェーは、スカンジナビア半島の端にありながら、隣国のスウェーデン、フィンランド、南のデンマークとも友好的な関係を築いており敵知らず。

出典:Wikipedia

アメリカは、かつて大陸国家に分類されていたものの、圧倒的な軍事力を保持した結果、もはやアメリカに侵略しようと考える国は、存在しません。

大陸国家時代は、脅威があったカナダやメキシコも、今はアメリカを南北から守る「要塞」として機能しています。

西に太平洋、東に大西洋、北にカナダ、南はメキシコ。アメリカはこうして事実上の島国となりました。

出典:Yahoo!ニュース「アメリカ合衆国と中国だけで全世界の軍事費の約半分…主要国の軍事費最新情報(2020年公開版)」

よって、事実上海洋国家の性格を持ち合わせるようになりました。

一方の大陸国家は、国家基盤が大陸にある国のことです。

ロシア、中国はいずれも国家基盤をユーラシア大陸においており、フランスとドイツも同一です。

陸続きで、隣の国から「いつ侵略を受けて国家が滅亡するか分からない」という危機が付きまとう大陸国家では、リーダーに、度重なる有事にも対応力がある人物が求められます。

こういった経緯から、大陸国家の国家元首には強く沢山の権限が集中しやすい傾向にあります。

侵略への対策には、首都から防衛線を出来るだけ遠ざけるということが一つ挙げられます。

ロシアの首都モスクワも、中国の首都北京も、海や国境線から離れた場所に置かれていますが、これは隣国からの脅威から離れるためという見方を取れます。

出典:北欧トラベル

しかし、大航海時代を経て、大陸国家は海洋国家よりも不利な点が生まれました。

「海が無い」ということです。

海洋国家が得意とする海上輸送は、大陸国家が重視してきた陸上輸送よりも、ずっと低コストで荷物や人員を運べます。

100kmの馬道を維持するよりも、500km近い海上航路を設ける方がコストが安上がりです。

そのため大陸国家は、海軍力を増強して一刻も早く海に出ようとします。

しかし、海洋国家からしたら、今まで自分達が独占していた海に大陸国家が来るのは迷惑。

ここで、「海を独占したい海洋国家」と「海に出たい大陸国家」の利害が対立。

軍事的対立が発生する要因になります。

海洋国家と大陸国家が対立は半島で起こる

海洋国家と大陸国家の対立が発生しやすいのが、大陸の半島部です。

半島は「大陸の玄関口」。

東西冷戦の対立、代理戦争は、ユーラシア大陸から突き出た「ヨーロッパ半島」と「朝鮮半島」「インドシナ半島(ベトナム)」などで起こりました。

海に出たい大陸国家と、そうはさせたくない海洋国家がここでぶつかります。

 

weibo辞典では、フランスとドイツが大陸国家として記載されていましたが、厳密には半島国家に分類されると私は思います。

両国共にヨーロッパという半島にあるのはもちろん、ドイツは東西冷戦の最前線として、資本主義陣営、社会主義陣営の二つに分断された歴史があるからです。

この世界にある国を分けるには、海洋国家、大陸国家、そして半島国家の3つに分かれるのではないかと思います。

海洋国家と大陸国家の国家戦略

海洋国家は、大陸国家の海洋進出を封じ込めればそれだけで問題ないので、大陸国家が「海への玄関」と考える場所を海軍力で囲い込んでしまえばいいのです。

海洋国家である以上、昔から海に関する知識は備わっているので、海上では大陸国家を大きく上回る力を発揮できるでしょう。

ただ、海洋国家は大陸に進出してはいけません。大陸を手中に収めたところで、特に何の利益も生まれないからです。

大陸上での領土を拡張して得をするのは大陸国家であり、海洋国家は海を広げる戦略の方がずっと良いです。

海洋国家のアメリカが、イラクやアフガニスタンの統治に失敗したのも、こういうことが関係しているでしょう。