アイキャッチ画像出典:エクスペディア
イングランドのプレミアリーグは、日本時間12月30日から1月2日にかけてリーグ戦第20節の10試合が行われます。
現在1位のリバプールはホームでニューカッスル、2位のアーセナルはアウェーでフラムと対戦します。
4シーズンぶりのタイトルを狙うリバプールですが、ホームのアン・フィールドでの強さと言ったら凄まじいものがあります。
今季もホームでのリーグ戦は負けなし。唯一の敗戦であるトッテナム戦はアウェーで行われました。
アン・フィールドの独特の雰囲気が、リバプールの勝利を後押ししていることもありますが、勝利の要因はアン・フィールドのピッチの大きさから探ることもできるでしょう。
それはなぜでしょうか?
アン・フィールドのピッチは狭い?
アン・フィールドのピッチは狭いということで知られています。何を基準にして狭いのか。
それは、FIFAが推奨しているピッチサイズ、105×68mというサイズと比較したときに、アン・フィールドのピッチサイズは狭いと言えるのです。
アン・フィールドのピッチサイズは101×68m。横幅はFIFA推奨の基準と同じですが、縦幅は4m短く、推奨基準よりも狭くなっています。
出典:Football Tribe
なぜFIFA基準よりも狭くて問題無いのか
なぜFIFAの推奨するサイズを満たしていないのに、アン・フィールドで試合を開催できるのでしょうか。
105×68mというサイズは、FIFAが”推奨”しているサイズであり、義務とは定められていません。
実際、国際ルールで決定されているピッチサイズの大きさは、縦100~110m、横64~75mと非常にアバウトな数字です。
アン・フィールドのピッチサイズはFIFA推奨基準よりも狭いとはいえ、国際ルールの範囲には収まっています。
よって、プレミアリーグやFIFAから執拗に改善を求められることも無いのです。
プレミアリーグはピッチサイズを統一したはずだが…
実はプレミアリーグは、ピッチサイズを統一するというルールを2012年に決定しました。
FIFAやUEFAが基準とする105×68mのピッチを、プレミアリーグの全クラブに適用させようとしたのです。
にも関わらず、プレミアリーグ内にはリバプールをはじめ、FIFAの推奨基準よりも狭かったり広かったりするピッチを持つスタジアムが、幾つもあります。
ルール制定から10年以上経っているとはいえ、全クラブのピッチサイズ統一は簡単なことでは無いようです。
①プレミアリーグのルールは強制力が弱い
プレミアリーグのルールが制定されたとはいえそこに強制力は弱く、依然としてアバウトな数字を持つ国際的なルールは存在します。
②ピッチサイズ変更には莫大な費用がかかる
ルールに強制力が無いとなると、クラブはピッチサイズの変更を前向きに考えなくなるでしょう。
ピッチサイズの変更は、ラインを引き直すだけで解決できるというのなら簡単ですが、プレミアリーグにはそうは行かないクラブが少なくありません。
FIFA基準よりも狭いピッチを持つアン・フィールドは、ピッチとスタンドの距離が非常に短いことで知られています。
またアン・フィールドの周辺は多くの住宅が密集しています。
そのため、ピッチの拡大にはスタンドを取り壊すなどの大掛かりな工事が必要で、スタンドを取り壊すとなれば周囲の住宅密集地にも影響を及ぼす可能性があるのです。
出典:LIVERPOOL FC LAB.
③ピッチサイズの違いが戦術にも有効である
場合によってピッチサイズの違いは、クラブの戦術にも利用できるでしょう。
ピッチサイズの違いが試合を決定的に変えることは少ないと思いますが、相手チームが普段とは違う距離感に戸惑うということは、十分に考えられますね。
国際大会は開催できないかも…
国際ルールをクリアしていれば、リーグ戦やカップ戦は開催できても、国際的な主要大会を開催するのは難しいかもしれません。
実際、EURO2028の試合会場から、アン・フィールドは除外されました。
代わりにリバプールでは、2025年に完成予定のエヴァートン・スタジアムでEURO2028の数試合が開催される予定です。
余談ですが現在のエヴァートンの本拠地であるグディソン・パークのピッチサイズもFIFAの推奨基準より狭く、100×68mとなっています。